藤田雄宏が選んだ! AFTERHOURSのオススメ BEST10(前編)
2024.08.12
今、欲しい、AFTERHOURSの名品たち(前編)
こんにちは、藤田です。アフターアワーズで扱っている中から、僕のオススメアイテムBEST10(順不同) を2回に分けてご紹介します。
僕のアフターアワーズのオススメ BEST10の中にSpigolaとSaicが入っているので、こちらの写真をセレクト。左から、Spigolaの鈴木幸次さん、Yohei Fukudaの福田洋平さん、Saicの村田博行さん、Ciccioの上木規至さん、Sartoria Corcosの宮平康太郎さんと。
①PANTHERELLA Extra long Staple Cotton Rib Hose
パンセレラのエクストラ ロングステイプル コットン(超長綿)のホーズはたっぷりの滑り感があり、今まで履いてきたソックスのなかで断トツといっていい肌当たりのよさ。
テーラードクロージングを着るときのソックスの基本であるホーズは25年以上いろいろ試してきましたが、その素晴らしい履き心地は間違いなく横綱クラスです。
お気に入りのスーツに袖を通し、お気に入りのドレス靴を合わせた日は、このホーズがこの上ない仕上げ役を買ってくれるはずです。
締め付け具合もきつくなくとても優しい感じですし、これを朝から履いていると、ふとした拍子に「ああ、このホーズ最高に気持ちいいなぁ」とマジメに思ったりして、そのたびに幸せな気分に浸れるんですよね。履き心地のよさで気分をアゲアゲにしてくれることも考えると、決して高いものではないと思います。
この滑り感、本気でナデナデしたくなる感じです。
PANTHERELLA Extra long Staple Cotton Rib Hose ¥6,380
②BRESCIANI SPORT Vintage Cotton Rib Socks
北イタリアはベルガモ県スピラーノのカルツィフィーチョ「ブレシアーニ」のヴィンテージソックス(デッドストック)です。
こちら、程よい甘さとふっくら感があるコットン製で、サラリとしていてこれまた素晴らしい履き心地。太リブタイプなので、カジュアルスタイルの際にとても重宝しています。
ちなみにブレシアーニですが、現行品もとってもオシャレです。
鴨志田康人さん的なマイクロボーダーのロングホーズや、イタリアならではのジャカードのロングホーズが揃っていて、かなりいい感じですよ!
BRESCIANI SPORT Vintage Cotton Rib Socks ¥3,520
スピーゴラの鈴木幸次さんとは同い年ということもあり大変な親しみをもっているのですが、職人として、ひとりの人間としても大変リスペクトしています。
幸次さんは昔から世界中を飛び回っていて世界のラグジュアリーを体感していて、仕事をしている世界のショップとも、ビジネスだけの関係でなく友人・仲間として迎え入れられているところもコージさんの魅力ある人柄があってこそだと思います。
フィリピンのマニラで、偶然にも一緒になったコージさん。場の雰囲気に馴染んでめっちゃ楽しんでいました。中央はSignetのトム・シング氏、右はSartoria Dalcuoreのダミアーノ・アンヌツィアート氏。
パーティの始まりは、こんな感じでした。中央はSignetのケリー・シー氏、右はAmbrosiのサルヴァトーレ・アンブロージ氏。
バーベキュー奉行のコージさん。おっ、着用しているのはLuca AvitabileのAfterhours仕様のフライデーポロじゃないですか!
世界中のエレガントな紳士のライフスタイルを間近で感じ、経験してきた中からコージさんの靴って生み出されているんですよね。
そんなコージさんが手がけるスピーゴラのクリエーションって塩梅が絶妙で、色気の足し算・引き算が天才的だなって思います。
スマートさだけを追い求めるのではなく、一歩引いて「カッコつけすぎないカッコよさ」みたいなところに落とし込んでいて、それがすごくカッコいいという(笑)。
で、スピーゴラ レッジェーラの既製靴。
イタリアの紳士って、ス ミズーラのスーツを着ていても足元にはこんな感じの力の抜けた柔らかい靴を合わせていて、それが自然体でカッコいいんですよね。
それを意識して作ったそうで、実際にスーツやジャケットを、こんな感じの軽くて柔らかな足元でヌケ感のあるスタイルを楽しんでみてはいかがでしょう?
ベルジャンシューズ的な雰囲気も持ち合わせていますが、セメンテッド製法ではなくマッケイ製法にしてソールに少しだけ厚みを持たせているので、街履きも断然快適です。
ハーフライニングで足を優しく包み込んでくれる感じで軽くて柔らか、返りのよさも抜群で、お客様からの評判はすこぶるいいです。
SPIGOLA LEGGERA SLIP-ON ¥96,800~¥107,800
コロンブスことクリストーフォロ・コロンボを生んだイタリア最大の港町ジェノヴァの街並みは、レンツォ・ピアノによって再開発されたポルト・アンティーコ(港)と旧市街のコントラストが美しく、イタリアの中でもとりわけ好きな都市です。
ジェノヴァ人には、港町特有の猛々しさ、勇猛な開拓精神、Mediterraneità(地中海らしさ)や“チチュウカイズム”のプライドがいい感じに同居し、それがイタリアの中でも異彩を放つ、唯一無二の文化を生み出しているように思えます。
そのジェノヴァには僕らイタリアンクラシック好きを唸らせる名店がいくつかありますが、1899年にローマ通りに創業したフィノッロは、MediterraneitàとGenovesità(ジェノヴァらしさ)に満ちたシャツとネクタイを生み出している、イタリアが誇る名店中の名店です。
ジェノヴァのローマ通り38番地ロッソに、創業時と変わらないアールヌーヴォー様式の姿のまま、今も店を構えている。
先代(3代目)の今は亡きロベルト・リンケ氏はかつてこんなことを言っていました。
「職人は、自身の手だけでなく、何よりも試行錯誤して『作る』方法を生み出し、仕事をする中で、独自の文化を生み出していくのです。職人の手から生み出されるものは彼らの技術と創意の結晶で、唯一無二のものであり、一部のエリートたちだけにでなく、すべての人のために運命づけられるものなのです」
創業者のエマヌエーレ・フィノッロは「フィノッロ」を創業する以前、親戚の会社モネーヴィで、シャツやテーブルクロスに刺繍するモノグラムや紋章をデザインし、その才能を如何なく発揮していました。フィノッロを創業し、パーソナライズした商品で目の肥えた顧客を満足させるべく彼が生み出したのが、デザインの手刺繍による「クラヴァッタ リカマータ」です。今回、これまで顧客がオーダーしてきた刺繍デザインをまとめたノートの中からセレクトし、仕立ててもらいました。どれもかわいい!
ストライプタイも人気です。注目すべきは、ストライプの向きが英国式と逆になっている点です。英国のレンジメンタルタイが特定の連隊やクラブへの所属を示すものであることから、フィノッロはそれを避けるためにあえて逆向きにしているとのこと。
生地はすべてエクスクルーシブのデザインで、ひとつの柄につき最大8本までしか作らないこだわりようです。それぞれに意味が込められていますが、例えば、左端のネクタイ。
San Giorgio contro il drago è il simbolo della lotta del bene contro il male e, per questo, la Cavalleria vi incarnò i suoi ideali di onore, fedeltà e lealtà!
ドラゴンに立ち向かうサン ジョルジオは、悪に対する善の戦いの象徴であり、そのために騎士道は名誉、忠誠、忠誠の理想を体現した!
“Il nostro più grande augurio è che San Giorgio vi protegga ovunque voi andiate!”
「私たちの最大の願いは、サン ジョルジオがあなたの行く先々であなたを守ってくれることです!」
Antico saluto di buon viaggio della Repubblica di Genova
ジェノヴァ共和国にあった旅の挨拶
4代目のフランチェスカ・リンケ氏。
ジェノヴァのフィノッロのネクタイ、芯のあしらいかたも独特で、大剣の先端には芯が入っていません。ふと柔らかさがあるのも、このネクタイの魅力です。
FINOLLO Cravatte Foderate ¥39,600~
僕のお気に入りBEST10 前編の最後にご紹介するのは、フィレンツェに工房を構えるサイクの村田博行さんが手がけたキャンヴァストートです。
村田さんの普段の装いはいつもナチュラルで、彼の考えの根本に、鞄だけが目立つのはよくないっていうのが絶対にあると思うんですよね。持ち主にスッと溶け込んで、それでいてセンスよく見え、さりげなく素敵という、実はとても難しいことを両立しているところがSAICの鞄の凄さであると思っています。
知っている方も多いかと思いますが、村田氏はご実家が天然藍灰汁発酵建の藍染工房「壺草苑」。DNAとして調和とかナチュラルな感じとか、そういうのが好きなんだと思います。
村田さんの人柄そのままといった感じの柔らかで曲線的なラインをもち、とても優しげな表情をしていて、決して“キメすぎ”にならない、絶妙な着地点のエレガンス!
素材はフレンチキャンバス&フレンチカーフ、真鍮の金具もフランス。ライニングはチンギアーレ。フィレンツェの工房で、村田さんご本人が手がけています。
サイズはW46×H35×D23cm。男性がもつトートバッグはこのくらいのサイズのほうがいいのでは、という、村田さんが考える大きさです。
革紐をキュッと絞ると口がひょうたんのようなフォルムになって見た目がコンパクトになる設計もこのカバンのユニークなところ。キャンバスなので大きさのわりに軽いですよ!
村田博行さん。実はセンスの塊みたいな方!