今秋デビューしたTHROWは、我が人生でNo.1のストール!

2019.10.08

今秋デビューしたTHROWは、我が人生でNo.1のストール!

🄫THROW  リネンウールカシミアのストール。アフターアワーズのオンラインショップで購入可。¥31,900

 

 

 

久々のひと目惚れだ。

 

僕はどちらかというと男らしい服が好きなんだけれど、巻き物だけは優しく包まれたい願望があって、だからTHROWのストールを手にした瞬間、僕の巻き物への願望をまんま体現したかのようなミニマルで透明感のある美しさ、経験したことのない感じのどこまでも優しい肌触りに、完全にノックアウトされてしまった。

 

これまで出合ったストールの中で一番かも?っていうくらい気に入っている。

 

今季デビューしたばかりのTHROWの素晴らしいファーストコレクションを少量だけれどバイイングできて、ここでこうやって紹介できることをとても嬉しく思うし、これから彼らがどのような発展を遂げていくのか、本当に楽しみでならない。

 

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撮影・文 藤田雄宏  

 

 

尾州を筆頭とするメイド・イン・ジャパンの生地の中には、英国やイタリアの生地と比べても決してひけを取らず、個性がはっきり出ていて面白いものが多々あるが、多くはヴィンテージ顔負けといった形容がぴったりで、必ずといっていいほどスーパー硬派系だ。

 

今秋冬にデビューしたTHROWというブランドのストールは、尾州で織り上げた生地を使用していながらとても洗練された印象で、どこかミニマルな雰囲気が漂っている。ミニマルついでにスーパー硬派な薫りも削ぎ落とされていて、素材に触れると独特の優しいタッチからふんわりと温もりが伝わってくる。それはフェミニンさすら感じさせ、一般的にイメージされる尾州の生地とは大きく異なるし、英国やイタリアの生地とも異なる。

 

それこれそがTHROWのモダンな個性であり、ちょっと掴みどころがないその不思議な魅力に、僕は完全にはまってしまった。

 

 

THROWのストールのごとく非常に物腰の柔らかい、ディレクターの山内達詞さん。ゴリゴリ押しの強い人がこういうストールを作っていたらそれはそれで面白いのだが、山内さんはTHROWの雰囲気そのまんまの人である。

 

 

 

このブランドを手がけているのは、山内達詞さんと奥様の大友朋子さん。

 

1974年生まれの山内さんはエディフィスのプレス、バイヤーを経て、八木通商の企画&セールス(べルヴェスト、オリアン、GTA、チンクアンタなどを担当)として活躍されていた。今は独立し、大手セレクトショップや総合商社のアパレル部門と契約し、売れっ子の商品企画ディレクターとして多忙な日々を送っている。

 

「妻とTHROWを始めるにあたって、テキスタイルから派生するモノの本質にこだわったアパレル作家になりたいなと。テキスタイルの魅力を最も引き出せるクリエーションをしたかったので、それが最も伝わるストールとマフラーのコレクションからスタートしました」

 

実は山内家の家業は尾張一宮の生地のコンバーター(機元問屋)で、山内さんは2014年にその会社「東伸」を継いでいる。山内さんが企画した生地は業界では最高に素晴らしいと評判で、世界のトップをいくフランスの超一流メゾン(マジすごいです!)やヨーロッパの錚々たるブランドもバイイングしているほど。自身がファッション業界での経験の中で培ってきた知識とノウハウ、そこから生まれるアイデアを、尾州産地の素晴らしい技術と掛け合わせることでテキスタイルの新しい魅力を引き出すことができる、生地作りの大変優秀なディレクターでもあるのだ。

 

そんな山内さんの大きな支えとなっているのが、VMDとして活躍されている奥様の朋子さん(元アダム エ ロぺのバイヤー)だ。山内さんが糸の選定や組織を考える役割を担う一方で、朋子さんが色決めや柄出しをし、女性ならではの目線で細かな風合いの調整をしているという。完璧な役割分担だ。

 

「自分では思いつかない女性ならではの色の組み方とかもあるので、そこは妻に任せています。それとこだわっているのは、女性をも魅了するタッチの心地よさです。もう少し風合いを柔らかくしたほうがいいとか、妻のアドバイスを受けながら、一緒にひとつのものを作りあげています」

 

 

🄫THROW  リネンウールカシミアのストール¥31,900

 

で、そのTHROWのストールで最初にオススメしたいのが、リネン56%、ウール40%、カシミア4%によるグレンチェックのこちら。秋冬なのにリネンってところが面白く、でもリネンが入っているとはわからないほどソフトで優しい肌触りだ。ハリと弾力性があって、凜とした雰囲気を備えていて、今までにまったく経験したことのないタッチである。

 

「リネンは日本では夏の素材というメージがありますが、ヨーロッパでは年間を通してテキスタイルに使われていて、自分もリネンを秋冬にも提案したいと思っていたんです。日本の気候の中でそうするにはどうしたらいいかを考え、糸の繊維の硬さが生むリネンの特徴を、新しいかたちで表現してみました。このストールは経糸がウールとカシミア、緯糸がリネン100%による平織りの組織なのですが、織り上がったあとに両面にたっぷり起毛をかけて膨らみを出しています。リネン混には思えない風合いですが、触ったときの独特のハリはリネンが生んだものです。そのハリによって、巻いたときにいい感じのボリュームが生まれるんです」

 

こちらは黒×ベージュ×白のリネンウールカシミアストール¥31,900

 

「日本での生地作りにおける優位点は、加工技術が世界のトップを誇っているところにあると思います。織り上がった状態の生地を生機(きばた)っていうんですけど、そこから特殊な整理加工をすることで、生地の表情や風合いは劇的に変わります。このリネンウールカシミアのストールも、日本の高度な整理加工技術があったからこそできたものなんです」

 

 

🄫THROW ウールカシミアの大判ストール。個人的にはこれを、ヴィンテージのジージャンやデニムカバーオールの上から羽織ったら素敵だなぁと思っている。Sold Out

 

 

もうひとつ惚れ込んだのが、上のウールカミアの大判ストール。こちらも最高にふんわり柔らかで、体を心地よく包み込んでくれる、優しさに満ちた一枚だ。

 

「経糸・緯糸ともスーパー130’sのウールと内モンゴル産カシミアの交織によるサージの生地です。生機の状態から縮絨させて水洗いし、タンブラーにかけ、さらに天然のアザミで起毛させ、抜群の軽やかさと膨らみを持たせているため、非常に優しい風合いに仕上がっています。生機の状態ではまったく別の風合いなのですが、これも整理加工によって劇的に優しい風合いに仕上げています。カシミアの混率は10%ですが、カシミア100%に匹敵する柔らかさを備えていると思います」

 

触ると本当に感動に襲われる。あのふんわり優しいタッチは、国籍不明の魅力がある。

 

「機場は本当に素晴らしい技術をもっているのですが、それをまだ生かしきれていないというか。世に出ているものの多くはよくも悪くも民芸品っぽくなってしまっているんですよね。自分は機場の職人さんたちに協力してもらいながら彼らの素晴らしい技術を最大限に活かし、今の時代に溶け込むモノ作りをしていきたいんです。最近は、尾州に限らず日本全国のさまざまな産地を訪ねていますが、餅は餅屋でいいものを作れるところがまだまだ日本には残っています。そういった素晴らしい職人さんの力を借りながら、世界にメイド・イン・ジャパンを発信していきたいですね」

 

先染めの糸はビーカー依頼をしてパントーンから選び、幅広い層に受け入れてもらえる色組みにしているという。この絶妙なブラウンとブルーも、もちろんそうだ。スタイリング次第で男性っぽくも女性っぽくも表現でき、メンズ・レディースという括りにとらわれないのもTHROWの魅力。山内さん、これからの展開を楽しみにしています!

 

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