偉大なるプラネタ社の愛するワイン 「ラ・セグレタ」の新ラベルに込められた思い
2024.10.15
創業30周年を記念し、生まれ変わった「ラ・セグレタ」のエチケット
プラネタ社が創業30周年を迎え、同社を代表するワイン「ラ・セグレタ」のエチケットが新しく生まれ変わった。
シチリアは大好きな島で、これまでに9度訪れた。大抵はパレルモかカターニアから、あるいはイタリア本土からメッシーナ海峡を列車ごと船に乗ってメッシーナから入ることもあるが、イタリアでも特異な、歴史上さまざまな国の文化が入り混じって発展してきたこの島は、海と偉大なる大地の恵みも圧倒的で、それに魅せられてしまった僕は、イタリアを訪れた際、なんとか時間を見つけて定期的にシチリアを訪れているのだ。
シチリアにおいては、期待して入ったリストランテやトラットリアの郷土料理に裏切られたことは、ほとんどない。アンティパストからドルチェまで、毎食至福の時を堪能している。シチリアは、大切な食事の時間をより思い出深いものにしてくれるワインも大変素晴らしく、中でも僕が贔屓にしているのは「プラネタ」社だ。
プラネタのワインはそれこそ、シチリアのあちこちで飲んできた。エトナの畑を訪問した際に飲んだ「エルツィオネ1614 カリカンテ」や「エトナ・ビアンコ」、元旦のアグリジェントで飲んだ「コメータ」、シラクーサで飲んだ「シャルドネ」、メッシーナでの「セグレタ・ビアンコ」、チェファルーでは友人でもあるSatroria Crimiのマウロ・クリーミの家族と彼の別荘で「セグレタ・ビアンコ」をカジュアルに楽しんだ。そして、何度も訪れているパレルモやカターニアでは、あれやこれやと結構な種類の「プラネタ」と食事を共にしてきた。
以前、雑誌の取材でプラネタのワイナリー数カ所回ったことがあり、その際にCEOのアレッシオ・プラネタ氏と2日間をともに過ごすことができたことも、僕のプラネタ好きに拍車をかけた。取材を通してアレッシオ氏のワイン造りへのほとばしる情熱を目の当たりにし、プラネタ社の素晴らしい企業姿勢を知り、美しく整備されたワイン畑に愛を感じ、そういったプラネタのすべてに感銘を受けたからだ。2019年にアフターアワーズをスタートした際は、プラネタのオリーブオイルをお客様に記念プレゼントしたほど(オリーブオイルも素晴らしい!)、プラネタは愛する存在なのだ。
さて、そのプラネタの中でも「フレンドリー」なワインとして結構な頻度で愛飲しているワインが「ラ・セグレタ」だ。その「ラ・セグレタ」が、創業30周年を記念し、今年新たにエチケットをリニューアルした。
「プラネタ」社の創業の地であるメンフィのウルモ・エステート。プラネタの畑はどこも大変美しい。
創業30周年を記念し、生まれ変わった
「ラ・セグレタ」のエチケット
シチリアの偉大なるワイン、プラネタの歴史は、メンフィのウルモ・エステートに最初のワイナリーが設立された1994年まで遡る。
ここに、土着品種と国際品種を実験的に植樹し、今日、メンフィ、ヴィットリア、ノート、エトナ、カーポ・ミラッツォと、シチリアの5つの地に計400ヘクタールのブドウ畑、7つのワイナリーを有するプラネタ家のワインの物語が始まったのだ。
ウルモ・エステートで収穫されたシャルドネの単一ぶどう銘柄「シャルドネ」のファーストヴィンテージがリリースされると、プラネタは世界的に高い評価を獲得。一躍脚光を浴びることとなり、それまでのバルク売りが中心だったシチリアワインに対する人々の価値観を一変させた。そう、シチリアのテロワールの偉大さ、その未知なる可能性に、世界中が注目し始めたのである。
そのプラネタ社が創業当初から大切に造り続けている代表的な銘柄が「ラ・セグレタ」だ。
「ラ・セグレタ」のこれまでのワインラベルには、ワインがシチリアの歴史に古くから根ざしてきたことを表現すべく、この地域の18世紀の地図が描かれていた。
今回生まれ変わった新しいエチケットには、様々なシチリアのハーブ、花や根が描かれている。これは、19世紀の博物学者ジュゼッペ・リッジオがシチリアに自生する植物を詩的に描写した植物図鑑から想を得たものだという。生まれ育ったシチリアへの感謝の気持ちと誇りを常にもち、「ラ・セグレタ」のワインを通じ、自然との特別な絆、豊かで寛大なシチリアの大地との絆を表現したのだ。
こちらがジュゼッペ・リッジオの植物図鑑。
中央がCEO兼醸造責任者のアレッシオ・プラネタ氏。人格者であり読書家で、生まれ育ったメンフィの地を愛し、シチリアを愛してやまない。左はサンティ・プラネタ氏、右がフランチェスカ・プラネタ氏。
2023年、CEO兼醸造責任者のアレッシオ・プラネタ氏は『WINE ENTHUSIAST』誌のWINE STAR AWARDSにて年間最優秀ワインメーカー賞を受賞。これは、イタリア人として4人目、16年ぶりの快挙だという。また、今年の3月にデュッセルドルフで開催された「Meininger Awards Excellence in Wine & Spirits」において、プラネタ家は「Wine Family of the Year」として表彰された。
アレッシオ・プラネタ氏は、「ラ・セグレタ」の新エチケットを発表するべく、パレルモに始まって、ニューヨーク、オスロ、東京、ロンドンと、世界5都市を回った。「美しい自然の中で発表したい」というアレッシオ氏たっての希望で、東京でのお披露目はイタリア大使館と目黒の東京都庭園美術館が舞台となった。
東京都庭園美術館の自然の中に溶け込む、新エチケットの「ラ・セグレタ・ビアンコ」。
創業30周年を迎えたのを機にリニューアルした「ラ・セグレタ」の新しいエチケットは、より一層オーガニックでサステナブルな、人にも地球にも優しいワイン造りを続けていくというアレッシオ・プラネタ氏という確固たる意志の表れだ。自然への敬意と愛情をさらに豊かにしてほしいという、プラネタ家の思いが込められている。
「ラ・セグレタ」の新しいエチケット。左はネロ・ダーヴォラ、メルロー、シラー、カベルネ・フランをブレンドした「ラ・セグレタ・ロッソ」、右がグレカニコ、グリッロ、シャルドネなどをブレンドした「ラ・セグレタ・ビアンコ」だ。他に、単一ぶどうのボトル「ラ・セグレタ・グリッロ」と「ラ・セグレタ・ネロ・ダーヴォラ」がある。「ラ・セグレタ」のボトルには、シチリア島内で分別収集から得たリサイクルガラスを100%使用している。このガラスはマルサラのガラス工場で製造されており、再生ガラス、短距離の供給チェーン、軽量ボトル(410g)を選択することで、二酸化炭素排出量を大幅に削減している。
日本でもイタリアでも、「ラ・セグレタ」のワインがリストランテでオンリストされているのをよく見かけるが、それは「ラ・セグレタ」がさまざまな場面で、さまざまな料理と寄り添ってくれる、大変フレンドリーで楽しいワインであるからだ。個人的には晴れた人の休日のランチに飲む「ラ・セグレタ・ビアンコ」が最高だ!
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